1971年に設立されたニュートン・フードセンターは、1965年に独立したシンガポールとほぼ同じだけの歴史を持つ、非常に古いホーカーセンターです。都会の喧騒から一区画離れた立地ながら1日に1,000人以上の利用者を有すると言われています。シンガポール観光局はこのホーカーを「シンガポールの多彩な食文化の象徴」と位置づけ、積極的な観光客誘致を展開。2005年には大掛かりな改修を手がけ、中央に広場がある円形のデザインのホーカーとして2006年1月に生まれ変わった姿がお披露目されました。2018年には映画「クレイジー・リッチ」で主人公たちが訪れる舞台としても登場し、世界に知られる存在にもなりました。
ニュートンフードセンターは他のホーカーと比較して圧倒的に、夕方以降に混雑する傾向にあります。夕方の風が吹き始めて気温が下がる夕飯前の時間、観光客や仕事終わりの人たちがわらわらと集まってきて、この場所で今日一日を締めくくる準備に取り掛かる様子を目にすることができます。
ニュートンフードセンターに訪れたなら、まず手始めに「オイスターオムレツ」というのが定番でしょう。ここニュートンフードセンターのオイスターオムレツは、ほかのホーカーと比較して大ぶりなオイスターを、ふわっとした卵でしっとり閉じ込めていて、シンガポールのグルメ・シーカーたちを引き寄せて止まない逸品です。
「バーベキュー・チキンウイング」と「サテ」(東南アジア風の肉の串焼き)もニュートンで忘れてはならないメニューでしょう。注文を受けてから一つ一つ焼き上げられるので、いつも焼き立ての味を楽しめます。ジューシーで表面をパリパリに焼き上げたチキンウイングは、ライムを絞ればよりさっぱりとした味わいを楽しめ、食欲を加速度的に引き立てます。サテはピーナッツソースにディップすることでまた違った味を楽しむことができて、食べ始めたら止まらないサテの魔術にどんどんハマってしまうでしょう。
ニュートンフードセンターは、ホーカーとしては珍しく生ビールが飲める店があるホーカーとしても知られています。生ビールは提供に時間がかかるのとお店の数が少ないので少し時間に余裕を持って並ぶのが良いでしょう。もちろん生では無いアルコールを売るストールはもっとたくさんあるし、サトウキビジュースやテータリック・フルーツジュースといったローカルのソフトドリンクを販売するお店もたくさんあるのでご安心を。
私はもちろん、世間一般の多くの人はクレイジーリッチではありませんが、ここニュートンフードセンターにくれば、映画の中のクレイジーなリッチな人たちと同じように、ホーカーならではの喧騒を感じながら、R&Bエクスプレスやアライアンスシーフードといったミシュランの店を楽しむことだってできてしまうのです。