実はシンガポールは、グルメの楽園だということをご存知ですか?シンガポールには、中国・マレーシア・インド、そしてヨーロッパの文化が入り混じっているので、それぞれから影響を受けた異文化フュージョン料理が溢れかえっているのです。もし、真のシンガポールの文化を味わいたいと思うなら、高級ミシュラン料理やおしゃれなビストロバーのことはいったん頭から追い出して、ホーカーセンターに飛び込みましょう!
ホーカーセンターとは、基本的には屋外にあるフードコートのような複合施設の総称で、ストールと呼ばれるお店によって形成されています。ただ最近では、ショッピングモールのような屋内にホーカーセンター的なものが設置されることもあり、そのような場所はエアコンも完備されていて、初心者でも比較的入っていきやすい場所なのではないかと思います。
シンガポール人にとって、ホーカーは単なる食事の場所ではなく、集い、語り合う、コミュニティ形成の場としての意味合いが強いということは理解しておくと良いかもしれません。だからこそ、ローカル文化が浸透しきったホーカーセンターに、いきなり飛び込んで自然に振る舞うことは、非常に難しいことなのです。
しかしコミュニティ形成の場だからこそ、ポイントさえ抑えれば、実は誰でも入り込んでいけるのもまたホーカーセンターの魅力。それではさっそく、ホーカー初心者の方々に向けて、どのようにホーカーを楽しむべきかを一から順を追って説明していきたいと思います。
ホーカーに初めてきた人は、その騒音・雑音と人の多さに驚くのではないでしょうか。そして、どう席を確保すれば良いのかいまいち分からないのではないかと思います。しかし、大丈夫。ルールはシンプルで、テーブルはすべて自由席、席は早い者勝ちが原則です。自分の場所は自分で確保しなければいけません。
ということで最初のステップは、いかにして自分の席を確保するか?です。そしてやり方はいたってシンプル。席にティッシュを置くだけです。席を確保することを、シンガポール人は「Chope(チョウプ)」と呼びますが、みなさんもティッシュを置いてしっかり自分たちのグループの人数分の席をチョウプしましょう!ティッシュがない場合、テーブル下のシートに傘を置いてもOKです。これなら一気に複数席確保できますね。
でも、ホーカーはコミュニティ形成の場である、ということはお忘れなく。他人とテーブルをシェアする「相席」はホーカーでは一般的なことなので、テーブル丸ごと確保しよう、とはしないようにご注意ください。
<Tips : ホーカー通への道>
ホーカーセンターは時として100店舗以上を有する、とても広い空間です。まずは食べたいお店をチェックして、そのお店の近くに席を取るのが良いでしょう。あつあつのご飯を長い距離運ぶのは大変ですからね。多くのホーカーはテーブルにナンバリングがされているので、その番号を覚えておくのが重要ですよ。
席が取れたらいよいよ食べももの・飲み物の注文です。
多くの人にとってホーカーの最初の印象は間違いなく「カオスな場所」だと思いますが、ストリートフードを食べる場所なのにかなり衛生的!と意識を切り替えて、どのお店で何を買うかを決めていきましょう。
とはいえ、あまりの料理のバリエーションと数になかなか決められない…というのは誰もが通る道です。チキンライスのようなよく聞くものもあれば、「ムトン・ビリヤニ」のような聞き慣れないものもそこかしこにあると思います。米料理、ヌードル料理、スープ、シチュー、西洋料理、さらにはベジタリアンの料理まで…。どんな好みの人にも必ず合うものがあるのがホーカーセンターなのです。もちろんドリンクも充実していて、ローカルコーヒーから、搾りたてのフルーツジュース、キンキンに冷えたビールも売られています。
ここでポイントをひとつ。ほとんどのストールがセルフサービス(お店で受け取って席まで自分で運ぶスタイル)なので、まず料理を注文して、用意されている間にドリンクを頼むのが良いでしょう。飲みすぎてお腹いっぱいにならないようには注意してくださいね。
もしテイクアウトして別の場所で楽しみたい、という場合も大丈夫。ストール店主に「ダパオしたい」と伝えればOKです。シンガポールの英語、いわゆるシングリッシュで「ダパオ」は「持ち帰り」の意味。これさえ伝えれば店主はあなたの料理を、持ち運びやすいようにパッキングしてくれます。
それでもやっぱり食べたいものが決められない…、という方、WAK WAK HAWKERを使ってみましょう。この記事を読み終わったら、TOPに戻って、キーワードを入れて検索するもよし、行こうと思っているホーカーから検索するもよし。あなたの「食べたい!」にぴったりのお店がきっと見つかるはずです。
<Tips : ホーカー通への道>
ホーカーの店主の中には、英語が通じない人もいますが、まったく焦る必要はありません。ほとんどのストールは基本的なメニューと価格を写真で掲示しているので、写真を指差せば良いだけです。恥ずかしがらなくても大丈夫。シンガポール人でさえ、そうやってコミュニケーションをとることもあるのですから。
少し上の世代のシンガポール人にとっては、食べ終わった後のテーブルにトレイやお皿を置きっぱなしにするのは当然のことでした。しかし近年、ホーカーをきれいに保つために、食べ終わったら自分たちでトレイを片付けることをシンガポール政府は強く推奨しています。食べ終わったら回収場所にトレイや食器を戻すのが、スマートなホーカーエチケットになりつつあることを覚えておきましょう。
また、トレイを戻す際の注意点をひとつ。シンガポールは異文化・異宗教の人たちが入り混じって生活しています。ノンハラルとハラルのトレイ回収場所は別れているので、戻す際に注意することをお忘れなく。
<Tips : ホーカー通への道>
ホーカーのトイレや洗面所は、清潔でいい香り、というわけにはなかなかいかないのが現実です。食事の前後で手と口を清潔に保つためには、多くのシンガポール人たちがしているように、ウエットティッシュを持ち歩くことをオススメします。
まったくの初心者のあたなに >> ラオパサ & シンガポール・フード・トリート
観光客にとても人気のある2つのホーカー。最初のホーカー体験としては申し分ないものになること間違いなしです。ラオパサは「サテ・ストリート」と呼ばれる、串焼き(サテ)屋さんが立ち並ぶストリートと併設しています。焼き鳥のようで、東南アジアの味わいもしっかり感じられるサテはホーカー初心者におすすめの一品。ただし客引きが多いのでご注意を。NoはNoとはっきり言うことが、いちばんの対策です。
もう少しローカルっぽい体験がしたい方へ >> マックスウェル & アモイストリート
この2つのストールは、名店が多いことで知られ、お気に入りのストールを求めるシンガポール人でランチタイムは混雑することで有名です。ハイクオリティな料理を、超安価で食べられるこれらのホーカーは、観光客にとっても魅力的な体験となること間違いないでしょう。
もっとシンガポール文化にダイブしたい方へ >> テッカ・フードセンター & チョンバル・マーケット
よりシンガポール文化の奥深くに触れたい方にはこちらの2つのホーカーがオススメ。これらのホーカーは、ローカルたちが日常の買い物を済ませるウエットマーケット(市場)と併設されており、よりローカルの暮らしを感じることができる場所になっています。まさに「シンガポールの真の文化」と呼べる場所なのではないかと思います。
徐々に行動制限が解除されていっているシンガポールですが、まだまだ油断は禁物。ホーカーでのルールについておさらいしておきましょう。
* 2月9日時点で発表されているガイドラインに基づいた情報です
・ ストールに並ぶときは、前後の人と1mのソーシャルディスタンスを保ちましょう
・マスクの着用はすべての人に義務化されています。食べる時のみ外すことが許されているので、食べ終わったら再度着用することを忘れずに
・赤いテープで貼られた場所は「着席禁止」なので、テープが貼られたテーブル・座席には座らないように
・1グループは8人までに制限されています。ほかのグループとの合流も禁止ですよ。
・友だちを誘ってグループで行くと、いろいろな料理をシェアできてもっと楽しめる!
・ランチやディナーのピークタイムは混雑するので注意。席の確保もより簡単にできる、ズレた時間がオススメです
・ハラルとノンハラルの食器を混在しないように注意しましょう
・$100札は使えないことが多いので注意しましょう。ほとんどの食事は$5未満なので、多くのストールが大きなお釣りは用意しておらず、$100札は断られることが多いようです
・ストール店主にはにこやかに挨拶しましょう。「Thank you!」もしくは「謝謝!」と笑顔で言えば、いいことがきっとあるはず…!
・せっかくなので、聞いたことのない料理など、新しいものに挑戦してみるのがオススメです。もし食べてみて嫌いだったとしても、何が嫌いかを知るのに数ドルは安いはず!